消毒スプレーを多用すると変色する?フローリングが変色する理由とは
コロナ禍の昨今、外から持ち込んでしまった菌を除去するために、手指だけではなくフローリングも消毒したいと考える人は多いのではないでしょうか。しかし、フローリングは基材と相性の悪い消毒スプレーを多用すると変色するおそれがあります。そこで今回は、フローリングに消毒スプレーを使用する際の方法や注意について詳しく解説します。
主な消毒方法・消毒アイテム
私たちが、日常生活で比較的簡単に手に入れることができる消毒アイテムには、下記のようなものがあります。ここでは、それらの消毒アイテムがどのようなものなのか、どんなふうに消毒するのかを説明します。
アルコール
対ウイルスに有効で多くの人が使っているものですが、フロアコーティングを施していないフローリングには、使うことはおすすめできません。
理由は後述しますが、引火性があるため、空間に噴霧することは絶対にしてはいけませんし、濃度も確認する必要があります。
市販されているもののなかには、アルコール濃度がハッキリ記載されていなかったり、記載されていてもウイルスを除去できる濃度に至らなかったりする場合も多く、注意が必要です。
中性洗剤
消毒用のアルコールは濃度に注意すれば、確実に消毒できて安心感がありますが、換気にも気をつける必要があるうえ、夏場に高温になる場所に放置してはいけないなど、危険な部分もたくさんあり、扱いには知識も必要です。
それに比べ、比較的安全に使うことができるのが中性洗剤です。家庭で清掃用として使われる中性洗剤には、界面活性剤を主成分としているものが多く、この界面活性剤はウイルスの膜を破壊することで、無毒化できるといわれています。
現在、9種類の界面活性剤が新型コロナウイルスに有効であることが確認されていて、それらを含む中性洗剤を選ぶことで、手軽に消毒を行うことができます。
次亜塩素酸水
次亜塩素酸を主な成分とする、酸性の液体です。酸化作用によりウイルスを無毒化します。濃度や製法、原料がハッキリと明記されていない曖昧な商品も多く、世間に出回っているため、注意してください。拭き掃除など消毒目的で使う場合には、少なくとも80ppm以上の有効塩素濃度の必要があるとされています。
次亜塩素酸ナトリウム液
次亜塩素酸水と混同されやすいですが、次亜塩素酸ナトリウム液は、次亜塩素酸水と違ってアルカリ性です。まったく違うものですので、気をつけましょう。
次亜塩素酸ナトリウム液は、塩素系漂白剤としてキッチンやランドリーで、常備している家庭も多いのではないでしょうか。
濃度0.05%に薄めた上で消毒用として使用できますが、肌に触れると肌荒れを起こす可能性があり、また酸性洗剤と混ぜると有毒ガスを発生させるなど、扱いには充分注意が必要です。
素材や塗装によって消毒耐性が異なる
フローリングと一言でいっても、使用されている素材やほどこされている塗装はさまざまです。素材や塗装によって消毒耐性が異なり、それを知らずに闇雲に消毒してしまっては、フローリングを傷つける可能性もあります。
また、一度だけなら大きな変化がなくても、回数を重ねるごとにフローリングにダメージを与えてしまうこともあり、大切なフローリングのためにも、どんなもので消毒するかは慎重に検討することをおすすめします。
フローリングにアルコールの入った消毒スプレーはNG
中でもとくに注意したいのが、アルコールでのフローリング消毒です。アルコール消毒液がフローリングに付着すると、フローリングの上に塗布されているワックスが溶けてしまいます。
ワックスには油が含まれていますが、その油がアルコールによって溶けると、溶けた部分だけ白く変色してしまうのです。こうなると、ワックスを塗りなおしたり、床を張り替えたりという大掛かりな作業をしなければならなくなります。
また、アルコールだけではなく、濃度の高い次亜塩素酸ナトリウム水溶液を使用すると、フローリングの表面に染みができることがあります。このように、フローリングの消毒は簡単そうに見えて意外と繊細な作業です。とはいえ、やはり消毒はしっかり行いたいですよね。
小さい子どもがいる家庭などはとくに、保育園や幼稚園では裸足で過ごしてきた子どもが帰宅してフローリングの上を歩くと、そのまま菌を撒き散らしていることになります。フローリングが菌の温床となる前に、なんとかしないといけません。
そこで積極的に活用したいのが、フロアコーティングです。UVコーティングやガラスコーティング、シリコンコーティングといったフロアコーティングを施していれば、たとえ消毒にアルコールを使用しても、フローリングが変色することはありません。
消毒にはさまざまな方法がありますが、やはり一般的に身近で信頼性が高いのはアルコールなのではないでしょうか。安心してアルコール消毒スプレーを使うことができれば、フローリングを今よりもっと清潔な状態で保つことができます。闇雲にアルコールを噴きつけるのではなく、アルコール耐性のあるフロアコーティングをほどこすことで、見た目も美しいフローリングを維持しましょう。